遺跡の声

読了。
漸く買えた…何故こんなに苦労しなくてはいけない*1のやら。(笑)
「トリニティ」*2シリーズを纏めた短編集。
アスペクトノベルス版「遺跡の声」に、SFジャパン2007年夏号に収録された「渦の底で」を加えた決定版*3
第一作目が書かれてから30年近く経つと言うのに殆ど古びていないのは驚異的だよなぁ。特に今年発表されたシリーズ最新作品を収録しても読後に違和感を感じさせないあたり、並外れた堀晃の作家としての力量を感じるな。
収録作の中でのお気に入りはやはり「太陽風交点」だな。等間隔で星系から飛び出している太陽ヨットのイメージが頭に浮かんで来るのが心地好い。個人的には「SFは絵だねぇ(c)野田大元帥」ってのを体現している短編なんだよなぁ。鏤められたキーワードもSF好きの琴線に触れるモノが沢山あるしね。
シリーズ全体の事で言うと、このシリーズの初読からずっと頭の中で捏ね繰り回している石原藤夫「惑星シリーズ」との対比。未だにちゃんとした文章化が出来ないのよね。一部断片でも纏まったら文章にしたいんだが…30年経っても出来ていないのが情け無いよな。

心地好いSFらしさに浸れる佳作だな。次は「情報サイボーグ」シリーズ再発…も良いが、「マッド・サイエンス入門」の続編が欲しい処だ(をゐ)

*1:いや、別の本屋に先に行けば良いだけの話なんだが…

*2:正式には『宇宙遺跡調査員』だが、個人的にはこっちがしっくり来る。
自分の中では「シリコニィ」、「バリバリ」と並ぶ珪素系生物の代表格だしね。(笑)

*3:が続きを書く事は無いだろうと云っている。