謎のマンガ家・酒井七馬伝

読了。
いやぁ、入手に苦労したわ。でコミックフロアにあったとかの情報を得て*1コミックコーナー、サブカルチャーコーナー、評伝コーナーと探しても見付からなかったのよね。処が今日たまたま覗いた「男性エッセイコーナー」で発見。(笑)
もう一寸置く場所を考えて欲しいよなぁ>有隣堂
で、なんと言うか…非常にまともな評伝ではある。酒井七馬に付いては全く予備知識の無い世代*2であるあたしが読んでも充分楽しめた。
特に気に入ったのは終戦迄の話かな。個人的にこの作者の文章で好きなのは、「事実に基づいた創作」の部分なんだが、終戦迄の話はかなり軽快なテンポで進んでいてとても面白かった。
終戦後、特に手塚治虫登場以降は緻密に調べ上げた事実を淡々と積み重ねて書いて行っている様に感じられたが、その所為なのか文章のリズムがイマイチだったかな。

全編通しての凄まじい迄の調査力と、其れによって明らかにされて行く酒井七馬という人物の姿をじっくり楽しめる佳作であったな。

一つ気になったのは、195pの「ぼくは辨慶」にある酒井七馬の自画像*3。この絵見覚えがあるんだよなぁ。何処で見た*4のであろうか…

*1:しかも、作者本人迄その事を歎いていたし…

*2:手塚治虫ブラックジャックで復活して以降の現役マンガ家としてしか接してない。
現役マンガ家に求めるのは旧作以上に面白い新作だから、
新寳島から鉄腕アトム辺り迄の作品には興味が無かった。

*3:と辨慶の絵

*4:リアルタイムではないのは間違い無い。
あたしが生まれる前に掲載されていたのであるしね。