永井荷風という生き方

読了。で知った本。
永井荷風は老後の楽しみに取って置いている*1作家。小学時代、最初に読んだのは「濹東綺譚」だったか、「ふらんす物語」だったか…-人生も折返地点過ぎた事だし、そろそろ読み出し始めようかな。
昔は、人が如何評価しているのか知りたくは無かったが、最近は「ああ、こういう捉え方もあるのだな」と思えるようになった。
この本もそんな意味で中々楽しめた。特に、荷風の女性廻りに対する考察は、自分からは絶対に出て来ない視点なので面白かったなぁ。
後、ペンネームに関する件は…実はあたしの三村良信ってハンドルも、それ以前に使っていたペンネーム*2も、本名とかけ離れた女性絡みの命名なんだよな。偶然とは恐ろしいもんだわ。
しかしまあ、この本の一番の見物は筆者自身が書いているらしい挿絵だな。特に最後の挿絵*3に至っては総て手書きで新聞*4の訃報記事を描いている辺り、只者ではないな。コレだけでも買った価値があるってもんだわ。
本としてはエピソードを鏤めただけと言えない事も無く、やや散漫な印象があるが、荷風物1冊目*5だからと考えるとこれもアリかなとは思う。その意味で、これが遺作になったのは残念な事だ。
この作者には他にも荷風物の作品があるようだし、一寸探してみようか。

*1:断腸亭日乗は特に

*2:某所に一度小説を投稿した時に使用。

*3:214p

*4:素粒子」欄があると言う事は朝日だが、この通りに載ったのであろうな。

*5:追記:正確には新書一冊目