オバマ大統領候補の死去を一寸考えて見る

おさらいとして、大統領決定のプロセスを以下に。

  1. 2008/11/04:「全米の有権者」による投票に拠り、各州ごとに「大統領選挙人団」を選出。
  2. 2008/12/15:「大統領選挙人団」が各州の州都で投票。結果は封印して上院議長宛に送付。
  3. 2009/01/03:11/04の議員選挙で選ばれた「新議員」が宣誓・就任後、新議員と非改選議員で新議会開始。
  4. 2009/01/06:「上下両院・合同本会議」で「大統領選挙人団」の投票を開票して、大統領当選者を決定。
  5. 2009/01/20:米議会前で「大統領・副大統領」が宣誓・就任。

んで、今は1と2の間で「大統領選挙人団」は民主党が多数を占めたので、オバマ候補が有利って状況。

12/15の投票迄にオバマ候補が死去した場合。民主党は「大統領選挙人団」にオバマ候補の替りに誰に投票するべきか指示出来るが、現行の党規では誰を代替候補にするか*1の規定は無い。
しかも、民主党の「大統領選挙人団」が民主党の正副大統領候補に12/15の投票で投票しない事を禁ずる罰則規定*2が無い州が半数近くある。
と言う訳で今オバマ候補が死去した場合には、

  • 民主党指名の代替候補で一本化され、代替候補が大統領に当選。→新大統領としての正統性には難の有る大統領となるのは否めない。
  • 民主党が獲得した「大統領選挙人団」の票が共和党のマケイン候補に流れ「大統領選挙人団」の過半数を制した場合。→逆転でマケイン候補が大統領に就任。但し上下両院が民主党で占められるので国政運営の混乱が発生する確率が高い。
  • 民主党が獲得した「大統領選挙人団」の多数がオバマ候補以外なら棄権して、「大統領選挙人団」の過半数を制す候補者が出なかった場合。→2009/01/03からの新議会で下院議員が各州1票*3で「大統領選挙人団」の大統領候補の投票結果上位3名のうち1人を選ぶ投票を行い、過半数を制した人物を大統領に選出。上院議員は1人1票*4で「大統領選挙人団」の副大統領候補の投票結果上位2名のうち1人を選ぶ投票を行い、過半数を制した人物を副大統領に選出。但し過半数を制する候補がいない場合の規定は無い*5。最悪01/20の宣誓式迄大統領が決まらない可能性がある。

…ってのが先日来一寸だけ調べた結果。アメリカが大混乱に落ち込むのは必至だな。オバマ候補の無事を祈ろう。(笑)

p.s.
もっとアメリカが大混乱になり兼ねないのは2と3の間でオバマ候補が死亡した場合だったりする。
憲法による規定が全く無いので、どんな結果になるのか予想も着かない…「大統領選挙人団」の過半数を制した人物がいないとして、下院で決定ってのが筋かも知れんが、最悪の場合、現在戦争状態と見做し、現大統領が退任を引き伸ばして、新たに大統領選を行う可能性も有り得る。
追記:もう一つだけ可能性としてはオバマ候補の当選は有効で、バイデン副大統領が決定し、オバマ候補が宣誓出来ない状況と見做して、副大統領の宣誓を行ったバイデンが大統領職を引き継ぐと言うシナリオもある。

*1:バイデン副大統領候補の繰上げか、
最後まで大統領候補の座を争ったヒラリー元候補が妥当な線だが…

*2:憲法、連邦法には罰則規定は無い。

*3:総数50票。

*4:総数100票。

*5:慣例で過半数を制する候補が決まるまで投票を繰り返す模様。