津軽太平記

読了。
元々地元の東奥日報に載った新聞連載小説で、新聞社で単行本化されていた作品を「河出書房新社」で加筆訂正の上、出し直した本。
郷土史家やら直木賞作家やら有象無象が扱った地元では手垢の付き捲った題材である、戦国大名津軽為信*1の一代記。
たしか、東奥日報社から出た単行本も買った記憶があるのだが、手元に見付からないので買い直して見た。
新味といえば、軍師沼田面松斎の若き日に天海僧正との繋がりを持たせた辺りと、弘前の町割に風水の考え方を持ち込んだって事くらいかな。
手垢が付き捲っても書きたくなるのは、面白いエピソードが多い*2からなぁ…其処さえ外さなきゃ充分面白い読物になるとは言え、一般受けしない題材ではあるが。(笑)
この作品も、津軽の歴史を知らない人には薦め難い本なのは惜しい所。まあ、辺りでも一般受けは難しい話ではあるし、止むを得ないか…郷土史知ってる自分にとっては充分楽しい本ではある。

作品と関係無い話だが、下克上で成り上がった大名なぞ日本中に山の様に居るのに、悪評が現在迄残っているのは、恐らくは宗家から独立して一国の主にはなったが、津軽も南部宗家も国替えも無く、近代迄生き延びた所為だよな。
この辺り語り始めると延々続くので…以下略(をゐ)

*1:東北で唯一下克上で成り上がった御仁。

*2:語り始めると限が無いので自粛。